飯塚昭三さん他界

  • 呻るような低音で、悪役…主に80年代特撮ヒーローの悪の親玉として印象を残したバイプレーヤー。キカイダーがギターの渡り鳥主人公のヒーロー版であるのに対し、ニヒルなライバル役の怪人化としてハカイダーの存在感は見事なまでにヒーローに拮抗して見せた。同時期にロボットヒーローのアストロガンガーも演じているが、アンチヒーローへの分水嶺だったのかもしれない。
  • ヤフコメで爆闘士ゴチャック(ビッグウェイン回の)を推す人がいる!では筆者は烈闘士ザーゲンで。鉄人仮面テムジン将軍もだけど、敗北の予感にうなされて並々ならぬ覚悟で逆襲してくるってのが、演技と相まって人間的な凄みを感じさせる。
  • 味方に回ると低音も頼もしい後見役となる。旧ガンダムリュウ・ホセイから、『ミスター味っ子』丸井シェフなど父性も円熟していく。『北斗の拳』山のフドウとの別れの演技は、筆者を男泣きさせた。
  • ボーゾックのPPチープリみたいな単発のギャグ怪人での起用は、若手ファンには無駄遣いと思われたようであるが、演者としての飯塚さんのギャグ属性は高い。筆者は残念ながら吹替え版未見だが、かの山田・広川らが参加する『モンティ・パイソン』に参加したメンツのひとりである。初期の戦隊怪人でのアドリブのノリを聞いてみると良い。ヘルサターン総統の「ピチピチおばさん…」を聞き逃すな。
  • スタートレックでは、TOSではクルーのケロウィッツを複数回担当。端役に呼んだのが同じ俳優なので脚本も役名を統一したというキャラだが、日本語版も共通キャストを起用してくれている。DVDでの追加吹替えでは故・雨森雅司氏が担当したハリー・マッド(2代目)などのカット部分を担当。ギャグ属性を発揮している。映画では2回クリンゴン人で出演。第1作(TV放送版)のヴィジャーを迎撃する艦長は勇猛だが、アドリブなのか原語で台詞のない箇所でも「ダメだ…」と口走るなど心情の動きを加味されている。
  • 悪役としては討たれるのが宿命とは言え、まだまだご活躍を聴いていたかったです。記事タイトルに他界と書くと幻夢界とか不思議界へお帰りになったっぽくて、せめてあちらでは安らかでいてくれそうにも思えたり。ご冥福をお祈りいたします。