- 決勝戦、佳境。聖衣の上を脱ぎ捨て、「抜き身の刀」となる山羊座エルシド。フェルサーが持つ、峰の研いだ剣と語らうために。だが、持ち手の思考に呼応して相手に斬られた結果のみをもたらす「斬桜鬼」には、光速を見切るエルシドにもかわす手立て無し!二太刀め、三太刀めを浴びたエルシドはついに倒れ伏す…。
- フェルサーの勝利の確信は、しかし再起するエルシドにくつがえされる。流血後の手刀の冷たさが、エルシドに己を剣と感覚させ覚醒させる。エルシドが見出した内なる剣は、荒く固い、欠けた剣。その感覚で見た対戦者の「斬桜鬼」の中には…研ぎ師の頃の峰が居る。妄執のまなざしを持つ悪霊を宿すそれは、聖剣ではなくもはや魔剣。悪霊・峰の振り下ろす手をかわせば、四太刀めはエルシドを捉え得ず!圧倒するだけの武器は、聖剣として不足…仁をもって己を研ぐ、その先に聖剣はある!!邪道に堕ちた夢の聖剣もろとも、カタラニアの覇王は斬り裂かれた。
- 巨身が本来の等身に戻っていく敗者・フェルサー。この修羅の巷を開いた訳を問えば、なにもなかったから、との答え。戦士の道を火傷で閉ざされても優しく見えたのは、執着がなかったゆえ。ひたむきな弟弟子らの姿で心の隙間を埋めるしかない…今のこの場の観客のような自分に失望し、フェルサーは別の道を探しに去った。だが、峰の夭折という絶望的な報せ。峰の夢を再びという切望が、夢神の力を借りて峰の魂を蘇らせた。エルシドの来訪と斬桜鬼との戦いも、町が叶えた峰の夢だったのか。
- 事切れる目前のフェルサーが、突然闇を吐き出す!?美姫・峰の背後に具現化する、躍り出たそれは夢神ボペトール!この場すべての人間の、夢も、命もむさぼりつくすために!!