今月の別冊チャンピオン/『聖闘士星矢 THE LOST CANVAS 冥王神話 外伝』(乙女座1回目)

  • 生気のない人の群れがさまよう荒野…そこを流れる大河でわけもわからずもがく男は、河が血の色に染まるほどの戦が起こったかと慌てて岸に上がる。その男に鎌を突きつける者たち…骸骨(スケルトン)の鎧の二人組によると、男は既に死人でここは地獄!二人組の趣味は、稀にいるこうした自我のある死人をいたぶることで、男の片腕を斬り落としてしまう!
  • たまらず救いを求める男。すると時が停まったように近くの滝が固まり、応じる声が頭に直接届く!?渦巻き状に開いた滝から現れた、神と見まがう黄金の鎧の男…その名は「我想(アスミタ)」…乙女座の黄金聖闘士アスミタ!「己の内に神を求めるもの」。アスミタは力量差も分からず挑みかかるスケルトン二人組を梵字「オーム」の一喝で阻み消し飛ばす。男は自分を15年前の「仏荒らしのアヒンサー」と知るアスミタと生前面識があったと思い出す…。
  • 死体の持ち物に始まり、仏像の金箔をも剥がして盗む「仏荒らし」のアヒンサーは、ついに捕まって苦行林に放り込まれた。そこは僧たちが苦行に明け暮れ、絶食から死に至る者も…。死体の手の麦を奪おうとしたアヒンサーに、その死者が病の行者だと忠告した少年僧がいた。生来盲目の代わりに他人の痛みを感じとる少年僧には、アヒンサーに病の母親がいたことも見通されてしまう。そうして盗みに走り必死で生きてきたアヒンサーには、命を捨てて苦行に入る者が理解できない。少年僧は答える…自分には痛みがないから他人の痛みは救えない…だから、苦行の先に自分を救う悟りを求めているのだと。痩せ細った身体で、少年僧はアヒンサーの母を弔う経をあげるのだった。
  • その時こんな仏になら救われたいと願ったアスミタと、冥界で再会したアヒンサー。そこへ行者のような黒い鎧の男…地鎮星の影法師が現れる。影法師の用は、アヒンサーのように自我を保つ亡者を「永遠の命」を報酬に自軍へ誘うこと。影法師の術でアヒンサーの斬られた腕も再生する!影法師は、主「アタバク」が唯一パンドラの指揮下でない極秘の冥闘士と知るアスミタには口封じの攻撃「影降伏」を仕掛ける。しかし、アスミタの「降魔印」は多数投擲された金剛杵もろとも影法師を地にねじ伏せ、返り討ちに。アスミタが冥界に来た目的は、一つに生きて冥界へ渡る感覚の探求。もう一つは、アヒンサーがされたように亡者を惑わす悪鬼を討ち滅ぼすこと!
  • 影法師の消滅した灰は、主・アタバクの館へ。ものをむさぼり続ける亡者に囲まれて暮らす、坊主頭の「冥界で最も神に近い男」アタバクは、自分の苦痛に心が動かぬというアスミタを、快楽に心動かぬ自分と同類と分析。次の刺客を呼ぶ…新たに冥闘士となった天暴星ベヌウの輝火を。
    • 過去バナ重っ!まあ、仏教の死生観絡みだとこうなるわな。
    • 影法師の冥衣は、本伝初期の扉絵に出たっきりのお蔵入りデザイン。これもひとつの救済也?アタバクの称号は不明なれど、手がいっぱいの千手仏風。これは月刊でなかったら死ぬぞ(アシスタントが)。
    • そして輝火キター!一輝オマージュキャラながら、本伝でアスミタとの対面は無し。このアローン覚醒前っぽい時期設定は、乙女座VSフェニックスをマッチメイクするためか!(アスミタの活動もここらしかないんだけども)。