ゲゲゲの鬼太郎(1971) 45話 死神のノルマ

  • キャスト情報(敬称略)
  • (以下役名なしクレジット)
    • 神山卓三(死神)
    • 小原乃里子(死神の妻・青子)
    • 坪井章子(死神の息子・骨太)
    • 鈴木泰明(アラビアの死神パシャ)
  • 魂集めのノルマが果たせず現世の街をうろつく死神は、ターバン姿の死神パシャと出会う。昔はアラビア砂漠で旅行者の行き倒れを収穫して羽振りの良かったパシャも、交通機関の発達で死者が減り、魂の干物ストックも残りひとつ。日本に来たのは、主の目を盗んで掟を破り、自ら人間に手を下すため。ノルマに苦しむ死神はパシャの誘いに乗り、大量殺人計画に手を貸すことに。ねずみ男が参加するという貧乏人無料ツアーのパンフに妖気を感じた鬼太郎。ツアー事務所へ乗り込むが、パシャに魂を抜かれてしまう。しかし、おりしも死神を案じて娑婆へ出てきた息子・骨太(ほねた)が鬼太郎の魂を奪還。父親の掟破りを恐れる骨太と母親の手助けでパシャを追った鬼太郎は、これを倒して間一髪ツアー客を救う。死神もパシャの残した最後の干物魂を得て、晴れて妻子と地獄に帰ることができたのだった。
    • ターバンを操り口から火を吐くパシャ。ツアー客を葬ろうとした能力は砂嵐。魂を干物にするのは、昔大量に収穫できた頃(表彰されたこともある)に編み出した独自の技術らしい。
    • パシャの主は石像そのままの姿のスフィンクス王。アラビアは閻魔様の管轄ではないらしい。パシャの日本での活動も、死神が国際協定に触れるとして一旦は抗議している。
    • オアシス行きのJALならぬジャリパック旅行。参加者バッジが鶴のマークなんですが…。パシャの殺戮計画は、砂漠の気候に慣れさせるとの嘘で大島にツアー客を誘導して行われた。
    • 死神に自殺志願者を装ってツアーに飛び入りした猫娘。黄色い縞模様のトランクの正体は…。
    • 今回ねずみ男は完全に被害者。鬼太郎の魂奪回を疑われ、死神に鞭打たれた挙句に魂を取られる。普通の人魂と違ってヒゲのある魂は、カビが生えているのだ。
    • 人間にはあの世は地獄で、死神にはこの世が地獄…どちらが住みにくいかと思案する親父殿で二期『鬼太郎』閉幕。死神を通じて社畜の悲哀を描くも、家庭救済END。
    • 全体の印象は、昔見たままという感じ。野沢版鬼太郎&親父は、視聴世代には鉄板です。ねずみ男は鬼太郎を裏切って全く悪びれないかと思えば、心配したり肩入れしたりと根が良いやつかそうでないのか…まあ、スタンス一定しないことが半妖怪の個性だしね。猫娘は今でこそ萌えキャラデザインだけど、このTVまんが時代のワカメちゃんみたいな絵でも言動で萌えられる。鬼太郎の敗北の時にしおらしく沈む様子はもちろんだが、ねずみ男との道行きで口論して先に行けと言われた時など、天邪鬼を発揮して待ってやるという猫的気まぐれっぷり。レギュラーに昇格しただけはある。逆に、後の鬼太郎ファミリーと呼ばれる砂かけ以下の出番が意外に少ないが、これは原作本編のストック枯渇を短編由来のエピソードで埋めたことにもよる。最終回でも助っ人を呼ぶ話はしていたけど結局は呼ばずじまいだったり。
    • このあと3期はアニメブームでキャラ押し&アクションメインになり、4期はエピソードの現代アレンジが妙味だったが、社会不安と怪奇性の絶妙な食い合わせはこの時代を見ていた者にしか共感できないかもしれない。CS再放送で今期はねずみ男の大塚さんの他界と放送が重なったが、1期の時は田の中さんだった。もう初期の声優の多くが去ってしまったが、6期があるとしたら、どんな『鬼太郎』になるだろう。それはきっと、やはり時代という朝の寝床と寝る『鬼太郎』であるはずなのだ。
    • …あれ?予告でしゃべってた永井さんの出番がなかったな??ガヤかもしれんけど、あれだけに呼ばれたん?