『劇場版 花咲くいろは』のロケ地マジック

  • 昨日の鑑賞で地元民として気になった点を。緒花となこちがデパートへ向かう場面について。
  • 二人が向かったデパートは、EDにもクレジットのある香林坊大和(アトリオ)。知恵の輪状の足のオブジェがある交差点を渡って到着する。下の地図で言うと、T字路の香林坊交差点を南の角から北に向かったわけだ。しかしこれは、方角は合っているのだが、順路としては現実にはあり得ないのだ。

  • 劇中の二人はローカル線に乗って金沢市内の大和デパートに向かう。そもそもTVシリーズの段階で、舞台の温泉地「湯乃鷺」のモデルは同じ金沢市内東部の湯涌温泉。ローカル線はおそらく絵的な理由で交通手段のように見せているだけで、現実には繁華街に向かう手段はバスである。しかし、ローカル線でもバスでも、南から交差点を渡るのは遠回りになってしまうのだ。
  • まずローカル線で来る場合、繁華街の北側に位置する金沢駅で降りなければならない。そこから市内バスで大和デパートを目指す場合、最寄りのバス停は「香林坊アトリオ前」…即ち目的地の真正面に着く。南側の交差点から来たとしたら、ひと駅乗り過ごしてしまっていることになるのだ。
  • 湯涌からバスで来たとしたら、バスは東方面から金沢駅へ向かうため、香林坊近辺は通らない。武蔵が辻あたりで途中下車したとしても、やはり北から香林坊へ向かうので南から交差点を渡ることはあり得ない。
  • 交差点を渡る前の場面はどうだったかな…商店街を急ぐ場面があったから、たぶん、やはり南側の竪町あたりを抜けてきた描写なんだろう。現実には直・デパート前でバス停下車が最短距離なんだけど、絵的に走ったりする場面が入った方が急いでるっぽく見えるという演出上のウソ順路というわけだ。
  • 風景も心象描写のひとつとするならば、現実に順路が最適かどうかは些末な問題だろう。しかし、これは近年流行のご当地もの。ちょっと目立つランドマークがあれば、そっちの方が絵になるじゃない。というのが件の足オブジェの交差点をロケーションした理由であろう。聖地巡礼を欲するファンに対しても、わかりやすいロケ地の方が特定しやすいしね。
  • まあ、昔からの特撮ファンからしてみれば、タイアップロケ地でわざとらしく名所を通過するのは伝統なんだよね。今回は地元民として偶々気が付いたってだけの話でした。